1|出雲大社の参道に突然現れる重厚な佇まい
出雲大社から歩いてすぐ。
参道に並ぶカフェや土産物店の軽やかな色合いの中に、
ふと、時代の重みをまとった建物が現れます。
老舗旅館 竹野屋。
華やかさを競うのではなく、
ただ静かに、そこに在る。
長い時間を渡ってきた木の色合いが、
この土地の記憶を抱えているように見えました。
2|祖父母の家と重なる建築
引き戸を開けた瞬間、
空気がやわらかく変わります。
一面に敷かれた畳。
時間を吸い込んだ欄間。
客間へ続く長い縁側の先には、
松のある庭。
田の字のふすま。
広い縁側。
太い柱。
それは、祖父母の家とよく似た造りでした。
出雲に伝わる家のかたちが、
飾られることなく、
そのまま残されています。
水回りだけが、静かに整えられていることもまた、
実家のような安心感を生みます。
古さを守りながら、
暮らしはちゃんと今を生きている。
肩の力が抜けた瞬間でした。
出雲の家のかたちは、
キルト美術館で感じた建物の静けさとも、どこか重なります。
キルト美術館については、「出雲|水の記憶をたどる旅」の記事でも触れています。
3|土地に帰る味(のどぐろ・そば・和牛)
夕食は、地元の食材を中心にした懐石料理。
のどぐろ。
出雲そば。
島根和牛。
新鮮なお造り。
華やかというより、
「土地に帰る味」。
子どもの頃、
祖父母の家で囲んだ食卓を思い出すような、
静かな満足感があります。
旅先なのに、
どこか“里帰り”のような夜でした。
4|館内のショップでは、竹内まりやさんの楽曲が流れていました。
出雲出身であること、
この旅館がご実家であることはよく知られています。
海外のシティポップファンからも注目される洗練された音が、
この歴史ある空間に溶け込んでいる。
その不思議な調和は、
出雲という土地の時間の重なりそのもののようでした。
時代は移ろいながらも、
何かは確かに受け継がれていく。
それは建物であり、
音楽であり、
暮らしのかたちなのかもしれません。
5|終わりに
出雲大社の目の前にある竹野屋さん。
いつかまた、再びこの旅館に泊まれば、
自然に「ただいま」と言ってしまいそうです。
この土地の物語
出雲の宿
-竹野屋旅館
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