雪をまとった冬の大山

大山寺とレイライン|富士山・出雲大社を結ぶ祈りの線

Contents

大山と出雲神話

鳥取県西部にそびえる大山(だいせん)は、出雲の国引き神話にも登場する山です。

神話では、八束水臣津野命(やつかみずおみづのみこと)が遠くの土地を引き寄せて国を広げたとされ、その綱となったのが現在の弓ヶ浜半島や出雲の長浜だと伝えられています。

そして、その巨大な綱をつなぎとめた杭が、三瓶山(さんべさん)と大山だったといわれています。

出雲の国引き神話の主人公ヤツカミズオミツヌを描いた影絵
△出雲の国引き神話を描いた影絵(夜の玉造温泉の温泉街で見ることができます)。巨大な綱で土地を引き寄せたとされるヤツカミズオミツヌの姿。
米子市内から見える冬の大山
△米子市内から見える大山

大山の標高は約1,729メートル。

富士山(3,776メートル)と比べると標高は低いのですが、初めて目にしたとき、その迫ってくるような存在感に思わず息をのみました。

山の裾野には町が広がり、人々の暮らしのすぐそばから山が立ち上がっています。

神社や寺院だけでなく、農地や牧場、美術館、ビールの醸造所、観光ホテルなども点在しており、人々の生活と自然が溶け合う風景を身近に感じることができます。

そのため大山は、遠くから眺める山というよりも、人々の暮らしの中に在り続ける山のように感じられました。

また、車で大山寺近くまで登ることもできるため、体力に自信のない方でも景色を楽しむことができます。

大山寺へ続く石畳の参道と門前町の風景
△大山寺へ続く石畳の参道。宿坊や土産店、そば処が並ぶ門前町の風景。

大山寺の歴史と信仰

西暦700年代に開創された大山寺は、高野山金剛峯寺や比叡山延暦寺と並ぶ大寺として知られ、かつては3000人もの僧兵を抱えていたとも伝えられています。

秋の大山寺山門と石段
△紅葉に包まれた大山寺の山門。ここから信仰の山への参道が始まります。

その長い歴史の中で、大山寺はさまざまな信仰を育んできました。

大山寺山門と狛犬
△杉木立に囲まれた大山寺の山門。長い歴史を見守ってきた狛犬が静かに佇みます。
夜の大山寺本堂前に並ぶ色とりどりの和傘ライトアップ
△大山寺本堂で行われた和傘のライトアップ。私が訪れた令和6年(2024年)は、ちょうど大山寺開山1300年祭が開催されており、夜の境内にも多くの参拝者が訪れていました。

大山寺では古くから地蔵菩薩への信仰が篤く、「生きとし生けるものすべてを救う」という教えが大切に受け継がれてきました。

やがてその慈悲の心は、人だけでなく、人々の暮らしを支えてきた牛や馬にも向けられるようになります。

農作業や運搬に欠かせなかった牛や馬の安全や健康を願う牛馬信仰が広まり、大山寺では牛馬のお守りが配られ、周辺では放牧も行われていたと伝えられています。

こうして大山寺では、地蔵信仰と牛馬信仰が結びつき、人だけでなく動物や自然にも目を向ける、やさしい信仰が育まれていきました。

今も境内には牛の像や多くのお地蔵さまが残されており、その祈りの心を静かに伝えています。

大山寺境内に祀られる宝牛
△ 牛馬信仰を今に伝える宝牛。一つの願いだけを心に念じてこの牛を撫でると願いが叶うという「撫で牛」になっています。

歩いていると、温かく静かに見守られているような気持ちになります。

富士山と出雲大社を結ぶレイライン

大山寺は、富士山と出雲大社を結ぶ「レイライン」と呼ばれる神秘的な線上に位置するとする説でも知られています。
古代の聖地や山が一直線に並ぶという考え方で、パワースポットとして紹介されることもあります。

もちろん歴史的に証明されているものではありませんが、
古くから「信仰の山」として崇められてきた大山の麓に立つと、
この場所が人々にとって特別な意味を持ってきたことは自然と感じられます。

大山で感じた「畏れ」

大山の自然の雄大さに触れると、自分の小ささを再認識すると同時に、
どこか神様に守られているような感覚にもなりました。

初めて大山を見たときに感じた、迫ってくるような「畏い」という感覚は、
車で山を上へ上へと進んでいく途中でも、ふとよみがえってきます。

ですが、大山の豊かな自然や、お地蔵さまや牛像のやさしいまなざしに触れるうちに、
山の厳しさへの畏れだけではない、どこか温かな気持ちにもなりました。
そんな大山寺の訪問となりました。

まとめ・体験感

大山寺周辺を歩くと、歴史と信仰、自然が一体となった空気を感じることができます。
牛馬信仰やお地蔵さまの存在は、古代から受け継がれた人々の生活や願いを今に伝えています。
出雲神話やレイラインの神秘とともに、大山での参拝体験は、日常を忘れる特別な時間となりました。

また大山寺周辺には、参拝後に立ち寄れる源泉かけ流しの湯もあります。
こちらは「 豪円湯院|大山参道に湧く源泉かけ流し」の記事にまとめています。
静かな山空気の中で体を温める時間は、参拝の余韻を深めてくれるでしょう。

この土地の物語

-大山ガンバリウス|大山の水が育てたクラフトビール

-大山どりのもも肉で照焼チキン。地ビールヴァイツェンでいただく

-大山Gビール ピルスナー|名水が生み出す爽やかな一杯と、初夏のそうめん

大山まきばみるくの里|白バラ牛乳アイスクリーム

-皆生温泉・美保関・大山|海と温泉と神話を巡る3日間

-メルキュール鳥取大山リゾート&スパ|大山で時を忘れて過ごす

大山の宿

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大山周辺で泊まれる宿は、下記のサイトから検索できます。

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大山を望む道の途中でこんな静かな街道に出会うこともできます

-ふと迷い込んだ、つつじの咲く静かな街道

山の中で静かな時間を過ごしたあとは、
更に川に沿い、中国山地の山あいの町へ向かうこともできます

-水の記憶― 山陰地方へ向かう、伯備線沿線の魅力 ―
-鬼っ子ランド|伯耆溝口に残る鬼文化の継承

大山の麓からさらに東へ進むと、日本海の表情は一変します

–青い青い海|日本海を眺める夜の逃避行
-鳴り石の浜 「からころ」と”よく鳴る”よくなる縁起のいい浜
-夢のようで、少しこわい|鳥取の日本海と白兎神社の記憶