皆生温泉や美保関を歩いていると、
この地域の旅には、景色や温泉とは別の、
静かな時間が流れていることに気づきます。
にぎやかな観光地ではありませんが、
港町の奥に、ひっそりと祈りの場所が残っています。
それが美保神社です。

美保神社を参拝
真冬の2月、美保神社を参拝しました。
冷たい空気の中、境内はとても静かで、
外国人観光客や家族連れの足音だけが響いていました。
観光地の神社というよりも、
地域に根付いた祈りの場という印象です。
にぎやかさはありませんが、
その分、落ち着いて参拝することができました。
本殿は立派で、この地域の特徴でもある「大社造り」。
出雲大社と同じ形式の建築です。
厳かな空気が、静かに漂っていました。

恵比須様と家族愛・商売繁盛の伝説
前の記事でも書きましたが、
恵比須様(事代主神)を祀るこちらは、漁師の神様でもあり、
全国3385社のえびす神社の総本宮として知られています。

海とともに暮らす町では、
航海の無事や商売の行く先を祈る場所として、
こうした神社がずっと大切にされてきたのだと思います。
また、出雲大社に祀られる大国主命と、妻・三穂津姫命との間に生まれた恵比須様は、
「家族愛」の神様としても知られています。
出雲大社と美保神社の両方をお参りする「両参り」をすると、
良いご縁に恵まれるとも言われているそうです。
(この土地のタクシー運転手さん談より)
(大国主命や恵比須様については「出雲神話|大国主命と八上姫、恵比須様誕生の物語」の記事でも触れています。)
「ざつ旅」という漫画の12巻でも美保神社が取り上げられており、
「両参り」について描かれていました。
御朱印を書いていた巫女さん
私の一つ前の方が、御朱印を書いてもらっていました。
寒い中、巫女さんは手袋をせず、静かに筆を動かしていました。
その姿はとても落ち着いていて、
自然とこちらも背筋が伸びるような気持ちになります。
派手な演出はありませんが、
静かな所作のひとつひとつが、
この場所の空気を表しているようでした。
姿勢や表情はとても美しく、
場の空気そのものが澄んでいくようでした。
そのあと、絵馬を購入しようとしていた私は、
自然と手袋を外していました。

石畳の街を散策
お参りの後は、青石畳通りを散策しました。

陶芸の置物屋さんや地酒屋さん、
お醤油屋さん、アートギャラリーなどが点在していますが、
全体的にとても静かな通りです。

時間帯によっては、人通りはほとんどありません。
海から吹く風が、石畳の路地をゆっくり抜けていきます。
にぎやかな観光地のような活気はありませんが、
昔の港町の空気が、今も静かに残っています。

青石畳は雨に濡れると少し青く光り、
港町らしい湿った空気を感じさせます。
路地も多く、少し覗いてみると、
また違った景色に出会えます。
青石畳通りの入り口横には無料の休憩室もあり、
鳥取や島根の観光情報のパンフレットが置かれていました。
青石畳通りの中には、国の登録有形文化財にも指定されている老舗旅館「美保館」があります。
港町の静かな時間や、美保神社の朝の空気を味わうなら、この町に一泊してみるのもおすすめです。
木造建築の趣や海を望む客室からは、美保関ならではの穏やかな時間を感じることができます。
出雲神話と土地の記憶
港町と海辺の記憶
さらに東へ進むと、鳥取の海へとつながっていきます
-皆生温泉|日帰り温泉「汐の湯」
-夢のようで、少しこわい|鳥取の日本海と白兎神社の記憶
