奥出雲の山々に囲まれた風景

奥出雲

―ふるさと、そして、あらゆる生きものが静かに還る場所。

神話の里・奥出雲町の入口に立つモニュメント
△神話の里・奥出雲へ。ここから、山々に抱かれた静かな旅が始まります。

Contents

・奥出雲
・山とともに生きる
・土地が育んだ恵み
・物語が息づく風景
・奥出雲の時間を味わう
・奥出雲の時間を過ごせる宿

奥出雲

奥出雲は、出雲神話に登場する「ヤマタノオロチ伝説」の舞台となった土地です。

スサノオとヤマタノオロチを演じる岩見神楽
△勇壮な岩見神楽は、ヤマタノオロチ伝説を今に伝える島根を代表する伝統芸能です。

あらぶる神・スサノオは、美しいクシナダヒメと出会い、姫を救うために八つの頭を持つ巨大な蛇、ヤマタノオロチに立ち向かいます。

退治に使われたのは、この土地で育まれた米と、美しい水から造られた酒。

八つの甕に満たされた酒を飲み干したオロチが深く眠ったとき、スサノオはその剣を振るいました。

神話の中で命を救った酒は、今も奥出雲の豊かな自然が育む恵みとして受け継がれています。

奥出雲を訪れると、仁多米のおいしさに出会い、澄んだ水から生まれる日本酒を味わい、温泉で身体を温め、山々に囲まれた静かな風景を眺めることができます。

この土地には、神話が遠い昔話ではなく、今も暮らしの中に息づいているように感じられます。

スサノオを祀る須佐神社、クシナダヒメを祀る稲田神社、日本最古の宮の一つと伝えられる須賀神社。

神々の物語は、奥出雲から出雲へと続く山々の中に、今も静かに受け継がれています。

スサノオとクシナダヒメを祀る須賀神社
△日本最古の宮の一つと伝わる須賀神社。神話の始まりを感じられる場所です。

縁結びの神社として知られる八重垣神社とあわせて訪れる人も多く、出雲神話ゆかりの地を巡る旅にもおすすめです。
スサノオとクシナダヒメの物語|八重垣神社と須賀神社をめぐる、出雲神話の旅

山とともに生きる

さらに山あいへ進むと、おろちループを見渡す景色が広がります。

山々を縫うように続くおろちループ
△ヤマタノオロチがとぐろを巻く姿を思わせる、美しいループ橋です。

谷をまたぐ大きなループ橋。

奥出雲の山々に架かる赤い橋
△深い緑の中に映える赤い橋が、奥出雲の雄大な景色をつくり出しています。

その下をゆっくりと走る木次線。

山あいをゆっくりと走る木次線
△木次線は今日も、奥出雲の暮らしと四季の風景を静かにつないでいます。

急勾配を越えるために設けられたスイッチバックなど、日本でも珍しい山岳鉄道ならではの風景は、この土地で人々が自然とともに暮らしてきた長い時間を感じさせてくれます。

かつては観光列車**「奥出雲おろち号」**がこの路線を走り、四季折々の山々を眺めながら旅を楽しむことができました。

観光列車「奥出雲おろち号」
△2023年まで山あいを走り、多くの旅人に愛された観光列車です。
木のぬくもりを感じる奥出雲おろち号の車内
△窓いっぱいに広がる山々を眺めながら、ゆっくりとした時間が流れています。

2023年に惜しまれながら運行を終えたあとも、木次線は地域の暮らしを支えながら、ゆっくりと山あいを走り続けています。

夜になると満天の星空が広がり、初夏にはホタルが静かに舞います。

深い山々に抱かれた奥出雲では、何もない時間が、何よりも豊かに感じられます。

田んぼで餌を探すコウノトリ
△豊かな自然が残る奥出雲では、コウノトリが舞う風景に出会えることもあります。

土地が育んだ恵み

奥出雲では、古くから砂鉄を採るために山を削り、その跡地を棚田へと変えながら、人々は自然とともに暮らしてきました。

世界農業遺産にも認定された奥出雲の棚田
△人と自然が育んできた棚田の風景は、四季折々に美しい表情を見せてくれます。

その営みは現在、「たたら製鉄と棚田が織りなす農業システム」として世界農業遺産にも認定されています。

砂鉄採掘に使われた水路やため池は、今では棚田を潤す命の水となり、美しい棚田の景観を育んでいます。

全国に誇るブランド米・仁多米を育てる稲作。

奥出雲を代表するブランド米・仁多米
△澄んだ水と寒暖差が育てる仁多米は、全国でも高い評価を受けています。

奥出雲和牛を育てる畜産。

香り高い出雲そば。

原木しいたけ。

森林資源を生かした循環型の農業。

人と自然が支え合いながら続いてきた暮らしは、今もこの土地に息づいています。

その恵みは、宿の食卓にも並びます。

炊き立ての仁多米。

やわらかな奥出雲和牛。

香り豊かな出雲そば。

地元の野菜や山の幸。

土地の空気ごと味わうような食事も、奥出雲を旅する楽しみの一つです。

木次線の亀嵩駅には、駅舎の中で営業を続ける名物のそば店があります。

木次線・亀嵩駅の駅舎
△駅舎の中には、名物の出雲そばを味わえるお店があります。

列車を待ちながら味わう一杯の出雲そばは、奥出雲らしい穏やかな時間を感じさせてくれます。

亀嵩駅で味わう出雲そば
△列車を待つ時間も旅のひととき。奥出雲ならではの味をゆっくり楽しめます。

物語が息づく風景

この駅は、松本清張の代表作『砂の器』にも登場しました。

『砂の器』の舞台を記念する碑
△松本清張の名作『砂の器』の舞台として、今も多くの人が訪れています。

父の故郷が隣町の日南町だった松本清張は、この地方の方言に親しみを持ち、その響きから物語を生み出しました。

ズーズー弁が事件を解く鍵となり、奥出雲の深い山々や静かな風景が、父と子の宿命をより印象深く描き出しています。

↓ バスタオルを準備してご覧ください。
丹波哲郎、森田健作、スーパーイケメン緒形拳さん、加藤剛、菅井きん、そして「寅さん」でおなじみの渥美清など、豪華俳優陣による名演はもちろん、耳に残るズーズー弁や、どこか懐かしい山あいの風景も、この作品の大きな魅力です。


奥出雲町からさらに山間部へ進むと、国の重要文化財・櫻井家住宅があります。

国の重要文化財・櫻井家住宅
△たたら製鉄で栄えた名家の面影を、今も静かに伝えています。
櫻井家住宅の土間と玄関
△重厚な梁や広い土間から、たたら製鉄で栄えた名家の歴史と格式が感じられます。
櫻井家住宅の広々とした座敷
△往時の暮らしや格式を感じられる空間が、大切に受け継がれています。

たたら製鉄で栄えた櫻井家は、この地域を代表する名家として知られ、美しい庭園と重厚な屋敷は、往時の繁栄を今に伝えています。

櫻井家住宅から眺める日本庭園
△四季の移ろいを映す庭園には、名家ならではの美意識が息づいています。

近年ではドラマ『VIVANT』で乃木家の邸宅としても使用され、その風格ある佇まいは、名家の歴史や品格を感じさせる舞台として多くの人の印象に残りました。

春夏秋冬に表情を変える庭園を歩いていると、この土地で受け継がれてきた豊かな暮らしが、静かに伝わってきます。

紅葉に彩られた櫻井家住宅
△秋には山々が色づき、櫻井家住宅はひときわ美しい景色に包まれます。

櫻井家住宅・可部屋集成館 基本情報】
開館時間: 9:00~16:30(最終入場16:00)
休館日: 月曜日(祝日の場合は翌日)、12月初旬~3月初旬
共通券: 一般1,000円/高校・大学生650円/小・中学生450円
見学時間: 可部屋集成館と庭園を合わせて約60分
※集成館のみ、庭園のみの入場券もあります。

奥出雲の時間を味わう

奥出雲には、神話があります。

鉄があります。

棚田があります。

山があります。

木次線があります。

人々の暮らしがあります。

そして、ゆっくりと流れる時間があります。

そんな奥出雲の魅力を感じるなら、この土地で一夜を過ごしてみませんか。

窓の外に広がる山々を眺めながら温泉に浸かり、仁多米や奥出雲和牛、出雲そばなど、この土地ならではの恵みを味わう。

夜には満天の星空や、季節によっては蛍が舞う風景に出会えるかもしれません。

旅館で過ごすひとときもまた、奥出雲という土地を知る、大切な旅の時間になります。

奥出雲の時間を過ごせる宿

-亀嵩温泉 玉峰山荘
-海潮荘

亀嵩温泉 玉峰山荘

Tamamine Sanso

世界農業遺産に認定された奥出雲の里山に佇む温泉宿。

世界農業遺産に認定された奥出雲の里山に抱かれた温泉宿。仁多米や島根和牛など、この土地ならではの恵みを味わい、岩造りの湯では四季折々の山あいの景色を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごせます。

バリアフリー対応の客室や車いすの貸し出しもあり、ご家族やご年配の方も安心して滞在できる、あたたかなおもてなしが魅力の宿です。

▽岩造りの露天風呂で、奥出雲の静かな山並みを眺めながら、美肌の湯にゆったりと浸かるひととき。

▽仁多米や島根和牛をはじめ、奥出雲の豊かな自然が育んだ旬の味覚を楽しめる会席料理。

海潮荘

Ushioso

斐伊川のほとりに佇む、昔ながらの純和風旅館。

源泉かけ流しの岩風呂では、とろみのある温泉が体をやさしく包み込み、旅の疲れをゆっくりと癒してくれます。

料理は奥出雲和牛やのどぐろ、さざえなど山陰の旬の味覚を生かした会席料理。地元・木次酒造の純米酒とともに、この土地ならではの豊かな味わいを楽しめます。囲炉裏のある食事処や和の設えにも、どこか懐かしい温もりが感じられる宿です。

▽奥出雲和牛をはじめ、山陰の旬の食材を丁寧に仕立てた会席料理。地酒との相性も楽しめます。

▽日本海の新鮮な海の幸を盛り込んだお造り。のどぐろやさざえなど、季節ごとの土地の味覚も楽しめます。

出雲神話ゆかりの地を巡るなら、八重垣神社出雲大社へ足を延ばすのもおすすめです。