山陰の町は、人の往来が最も多い昼間の時間でさえ静かです。
そして夕方、夕日が落ちる時間の陰影はよく知られています。
けれど山陰には、もう一つ
この土地の魅力 ― 静けさやわびしさ、孤独の美しさ ― を感じられる時間帯があります。
それは「夜」です。
以前、伯備線の記事で夜の山の「畏さ」について触れましたが、
宍道湖の夜には、「闇と自分が一体になれるような安心感」があります。
自分以外には何もない
この地球の上に「自分以外に何もない時間や空間」があるとしたら、
それは宍道湖の湖北線を車で静かに走り抜けた瞬間なのかもしれません。
21時を過ぎたころ、宿へ向かって車を走らせます。
前にも後ろにも車はいません。
どこの田舎もそうなのかもしれませんが、
走っているのは私の車だけ。
けれど湖のそこには、山の夜のような「畏さ」はありません。
ただ、ライトで照らされる道と、静かな水面があります。
その静けさと夜の湖を感じていると、
まるでこの夜を自分だけが独り占めしているような感覚、
水の上を車で走っているような感覚になります。
この土地の物語
–宍道湖の夕日を眺める宿6選|水の都・松江で泊まる静かな時間
–松江の陰影を感じる宿5選|小泉八雲の面影が残る城下町に泊まる
山陰の名湯
宍道湖・湖北線の宿
山陰の夜には、
静かな道がいくつかあります。
