山陰旅に慣れてくると、もっと静かに、
でもさらにダイナミックに山陰の自然を味わいたい、
と思うようになるかもしれません。
夜のとばりが降りるころ、皆生温泉から国道9号線へと出て、東へ車を走らせます。
鳥取県を東西に縦断する9号線は、その真横を鳥取自動車が並走しています。
そして、鳥取自動車道の方は無料で利用できるため、
多くの人は、この高速道路を使います。
一方で9号線は、日本海の青い海をもっと身近に、ゆっくりと雄大に見渡すことができます。
また静かに、地元の人たちの生活を感じることもできます。
この青く広く続いていく日本海の海、普段は至近距離では三角形に見える大山を、
別の角度から、より大きく眺めるためだけに車を走らせると、
それだけで時を忘れることができます。

時々現れるコンビニやラーメン屋さん、手作りっぽいカフェを訪れながら少しずつ東へと進んでいくと、
少しずつ日本海の海や静かな夜の闇にに包まれていき、逃避行の旅を楽しむことができます。

巨大な風車が日本海の海を見張るように立ち並んでおり、
無機質な白い鉄の塊が、より一層田舎の夕方の海を孤独な色に染めていきます。

夜が深まり始めると、いか釣り漁の灯りが遠くから、ちらちらと夜の闇の中に温かい光を点します。
日本海の海の深い青色に抱かれながら、ここでも「自分以外に誰もいない時間」を楽しむことができます。

真っ暗な暗闇の中、途中コメリの駐車場に車を停めました。
空を仰ぐと、満点の星空が夜の闇を埋め尽くしています。
あっけにとられて口を開けたまま空を見渡していると、
こんな夜に人の気配があるのが珍しいのか、お店の裏口から出てきたコメリの従業員さんを少し驚かせてしまいました。
現実と暗闇の境目が解けるような、
混乱した、でもとても静かな夜でした。
山陰の夜には、
静かな道がいくつかあります。
